【完】『空を翔べないカナリアは』
ただならぬ気配を察した寿司屋の大将は、乗っていたバイクをそのまま崚の背中めがけタイヤをぶつけ、
「なにやってんだ、このヤロー!」
ひるんだ崚に馬乗りになって、寿司屋の大将は崚をボコボコにタコ殴りした。
美優の手首が自由になって後退りした瞬間、自転車がガッシャーンっ、と大音声で倒れた。
一連の騒ぎを聞き付けた近所の連中に、
「こいつ、女子高生を乱暴しようとしてやがる!」
寿司屋の大将は叫んだ。
そうなると、何人か男が寄ってたかって崚を取り押さえた。
美優は店から出てきた常連に促されてスナックに入ってゆく。
取り押さえた連中の一人が通報したらしく、ほどなくパトカーが来た。