【完】『空を翔べないカナリアは』
だから、と美優は、
「何かこんなに貴慶に好かれてて、何で今まで自分に自信を持てなかったのかなって」
汽笛が遠くで鳴った。
「…あたし、ちゃんと高校出る。卒業したら、貴慶と一緒に暮らす」
「…スナックは?」
「多分、長くは続けないと思う」
「何で?」
「うちのママ…もしかしたらフィリピンに帰るかも知れないし」
ただ美優の心は定まっていたようで、
「仮にママがマニラに帰ったって、あたしは貴慶のそばにいたい」
とも言った。