【完】『空を翔べないカナリアは』
こうした美優のリクエストを叶えるツーリングは、いつしか月曜日の夜の恒例となった。
行く場所はまちまちで、浮島の埠頭もあれば、美優の希望で眺めの良い公園に行くこともある。
この送り迎えが、二人のいわばミニサイズのデートにもなった。
しばらくして。
新品の自転車をリサが買ったので、美優はまた自転車での通学に戻った。
それでも。
美優は月曜日の夜になると、鶴見ベースに寄り道して貴慶に逢ってから帰るのが習慣となった。