【完】『空を翔べないカナリアは』

それで、と貴慶は、

「そんでようオトンに頭から墨汁かけられて、早よ頭黒く染めたらんかいって、あれは激しかったよなー」

などと身振りを交えて話をする。

「美優さんは、そういうのは…?」

「全然なかったよ」

むしろ。

「あたしがギャルになったおかげで、もしかしたらギャルなら簡単にヤらせてくれんじゃないかって、そういうエロおやじの客が増えたことはあった」

実際それで、スナックは売り上げが伸びたらしい。

「で、なんでギャルやめたの? もしかして何か仕事に就いたとか?」

だいたいギャルがギャルをやめるのは、彼氏に言われるか仕事が決まるか、どちらかしかない。



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