【完】『空を翔べないカナリアは』
週末が来た。
美優は鶴見ベースに来ると、
「貴慶ってさ、もしかして千尋ちゃんのこと嫌いなのかなって」
「いや」
「じゃあどうして」
「そらな美優、うちはどんなに足掻いたかて婚外子で、遺産ももらえなければ、下手したら戸籍もどうなるやら分からへん」
「だからって…」
「それなら逆にこっちから断ち切って、整理した方がえぇ場合もある」
「ごめん…どうしても何か、このことだけは納得できない」
「うちかてな、千尋はオカン違いやけど血を分けた妹やから、千尋の気持ちも分からんではない」
手元の緑茶をすすった。