【完】『空を翔べないカナリアは』
VOL.3
〔1〕
年が、あらたまった。
四月からは美優は定時制の四年で、順当にゆけば次の三月で卒業となる。
その前に。
美優は、やらなければならないことがあった。
ひとつは二月のバレンタイン。
そのあとは、年度末にある貴慶の誕生日である。
「年度末の誕生日やから、みんな忙しいし誰も祝わへん」
貴慶は笑い話にし、毎年コンビニで小さなカップケーキを買って、一応誕生日という程度にしていたが、
「いよいよめんどくさいから、祝うのやめたろかなって」
などと貴慶はうそぶいていた。