【完】『空を翔べないカナリアは』
その頃の美優は。
なんとか進級が決まって、
「今度こそはリベンジしなきゃ」
と、月末の貴慶の誕生日に向けて、着々と案を練っていた。
「確か貴慶ってチーズ好きだったっけ」
輸入物の店でみつけた見切り品のチーズをつまみに、缶の酎ハイを飲む姿を美優は見かける。
とにかくチーズだのヨーグルトだの、乳製品が好きな貴慶が、前にヨーグルトを抱え込んで食べる姿も、美優は見たことがあった。