【完】『空を翔べないカナリアは』

そのとき、である。

「…大丈夫ですか?」

声をかけてきたのは、オレンジのリュックを背負った、白デニムにカーキのブルゾンを着た、片手にヘルメットをぶら下げた男である。

男は手早く教科書やらノートやらを拾って揃えると、

「はい」

と美優に手渡した。



< 14 / 275 >

この作品をシェア

pagetop