【完】『空を翔べないカナリアは』
〔3〕
四月になり、美優は定時制の四年生になった。
貴慶も年度がわりで忙しかったが、美優との時間だけは作る。
「今度の連休、二人でどこか行こうよ」
ベッドでシーツをパレオのようにまとっただけの美優は、コンパクトでメイクを気にしている。
「美優は素っぴんも変わらんけどねぇ」
この頃になると、美優は貴慶と身体を重ねることもあった。
「貴慶ってさ、すごい上手いんだよね」
さすがに聞いてる美姫が赤面するほどであった。
貴慶も美優と二人きりのときには、
「美優の肌って、なんかキラキラしてるのな」
と言い、隅々まで愛でた。