【完】『空を翔べないカナリアは』

〔3〕


四月になり、美優は定時制の四年生になった。

貴慶も年度がわりで忙しかったが、美優との時間だけは作る。

「今度の連休、二人でどこか行こうよ」

ベッドでシーツをパレオのようにまとっただけの美優は、コンパクトでメイクを気にしている。

「美優は素っぴんも変わらんけどねぇ」

この頃になると、美優は貴慶と身体を重ねることもあった。

「貴慶ってさ、すごい上手いんだよね」

さすがに聞いてる美姫が赤面するほどであった。

貴慶も美優と二人きりのときには、

「美優の肌って、なんかキラキラしてるのな」

と言い、隅々まで愛でた。



< 146 / 275 >

この作品をシェア

pagetop