【完】『空を翔べないカナリアは』

三ノ宮のあたりで眠くなった貴慶はそのまま寝て、起きたのは安来を過ぎた近くであった。

美優も目覚めたらしい。

「…見て」

美優が指差す先には中海がある。

「美優は初めてなん?」

「だって貧乏だから、修学旅行なんか行けなくて」

そういえば。

美優は去年の修学旅行は行ってない。

その日の夜、崚に襲われた例の件があったのである。



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