【完】『空を翔べないカナリアは』
その夜。
予約してあったホテルに着いて、穏やかに夕食をとり、静かに入浴し、二人きりで部屋に戻った。
このとき。
美優と貴慶は今までなかったぐらいに、激しく互いを求めあった。
美優が果てても貴慶が、貴慶が果てても美優が、それぞれを、それこそ文字通り尽きるまで、互いに互いを求めた。
何かリミッターが外れたような激しさであったが、それが一頻りどうにか落ち着くと、美優と貴慶は何もまとわない姿のまま、抱き合って眠りについた。