【完】『空を翔べないカナリアは』
〔5〕
翌朝。
夕方には横浜へ帰るというタイミングで、けたたましいばかりの着信音が鳴った。
「…はい」
「もしもし、こちら白川貴慶さんの携帯電話でよろしかったでしょうか?」
「はい」
「朝早くすみません、鶴見警察署刑事課の者ですが」
「…はい?」
警察、と聞いただけで一気に貴慶は目が覚めた。
「実はそちらの事務所が火災で全焼しまして、安否の確認のためにお電話を差し上げたんですけど…」
「…えっ?!」
貴慶はまだ事態を把握しきれないでいる。