【完】『空を翔べないカナリアは』
次第に頭が回転してきて、どうやら鶴見ベースが火事に遭ったという事象だけは、理解することが出来た。
「今は外出先なので、よく分からないのですが」
貴慶は答えた。
「それは昨日からですか?」
「一昨日からです」
「場所は聞いても大丈夫ですか?」
「松江の玉造温泉です」
「ご家族かどなたかはいますか?」
「家族ではないですが」
と貴慶はチラッと美優を見てから、
「恋人と来てます」
ハッキリ答えた。