【完】『空を翔べないカナリアは』

寿司屋の大将に連れて行かれた貴慶が見たのは、CD90という古いビジネスバイクであった。

「鍵だけは変えなきゃなんないけど、あとは動くんじゃないかな」

との話で、取り敢えず修理に出すことで決まった。

「かみさんにいい加減スクラップに出したらどうかって言われてたんだが、独立してすぐの頃、贔屓にしてくれてたディーラーさんの厚意で安くしてもらってさ」

だから処分できなかったらしい。



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