【完】『空を翔べないカナリアは』
こうして貴慶が新しいバイクに慣れた頃、警察から再び連絡が来た。
「お宅に放火した容疑者がつかまりました」
やはり火を放ったのは崚であった。
「相当何か怨恨があったらしく、家のまわり七ヶ所に火をつけてました」
しかも。
執行猶予中であったところから、すぐさま収監された。
ことごとく貴慶の読みが当たったことになる。
「貴慶って超能力とかあるの?」
「いや」
美優は貴慶が言い当てたことが奇異でならなかったらしいが、
「まぁちょっと目端がきいたらわかりそうなもんやからね」
とのみ言い、あとは何も言おうとはしなかった。