【完】『空を翔べないカナリアは』
〔7〕
夏休みが近い。
美優とリサと貴慶の三人での生活になって、二ヶ月が過ぎた。
この間。
美優と暮らして行くうち、それまで分からなかったことが、だんだん明らかになってきた。
まず美優の私服は、ほとんどがリメイクであるということである。
古着屋で二束三文の古手を買い、それをミシンであちこち縫ったり、ワッペンを貼ったりとさまざまなことを駆使して、古臭くならないように変えて行く。
たまに見る美優の私服はデニムにゆったりめのシャツというカントリー風の組み合わせだが、ほとんどリメイクということを貴慶は初めて知った。