【完】『空を翔べないカナリアは』
あとから慶に訊くと、
「あのなぁ白川、パフィオペディラムって高いやつは車一台と同じぐらい高いんだぞ」
というので腰を抜かしたが、美優のそれはバイト帰りに寄ったスーパーの花屋で、開花の終わった鉢を三百円で買ったものであるらしかった。
「だって売れなきゃ捨てられちゃうんだよ? 貴慶は可哀想だと思わない?」
美優の知らなかった面を、貴慶は一緒に暮らして行くうち知ることとなった。