【完】『空を翔べないカナリアは』

この頃には美優もタンデムを覚え、

「貴慶の背中って、意外に広いよね」

と帰り際に唐突に言い、ことあるごとに美優は貴慶の背中にもたれる。

「貴慶とのタンデム知っちゃうと、ちょっとねー」

美優はこのまま時間が止まればいい、と感じながら、貴慶の広い背中に腕を回し、潮風に金髪をなびかせていた。



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