【完】『空を翔べないカナリアは』
本来は貴慶が被害に遭ったのだから、何らかの補償がなされて然るべきなはずなのだが、
「何で加害者の裁判が終わるまで、被害者が復旧を待たされなあかんのかが、よう分からん」
と、少し苛つく日すらある。
そういうとき美優は、
「なんも出来なくてごめんね」
と謝ったりするのだが、
「こればっかりは、美優がなんとかできる問題とちゃうからなぁ」
と、逆に貴慶が申し訳なさそうな顔になった。