【完】『空を翔べないカナリアは』

翌朝。

美優と貴慶が向かったのは、貴慶の地元の西陣である。

「ここは職人さんの町やからね、あんまり観光地でもないし」

とは言うものの、美優には初めて見るものだらけであった。

京町家も、格子の路地も、犬矢来も、聚楽色をした壁の町並みも、すべてが初めてである。

「もしかして貴慶の家ってセレブ?」

「そんなことあるか」

貴慶は思わず突っ込みを入れた。



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