【完】『空を翔べないカナリアは』
ハイツのそばにカトリックの教会があって、というから、おそらく亀甲山のチャペルのことをさすのであろう。
「毎年かならずそこで、子供たちを集めてお菓子を配ったり、絵本の読み聞かせなんかしたりするの」
うちはカトリックだから参加してるけど、貴慶もどうかと美優は誘ってきた。
「日曜教会の延長みたいなもんか?」
「そんな感じかなぁ」
「うち、代々お東の本願寺さんやけど大丈夫かなぁ」
「近くの禅寺のお坊さんもたまに来てるから、大丈夫じゃないかな」
じゃあ美優も一緒だし、といった軽い気持ちで、貴慶も顔を出してみることに決めた。