【完】『空を翔べないカナリアは』

教会でお菓子の段ボールを下ろし、指示された位置に運び終わると、今度は引き返して美優を仲通まで迎えに行った。

いつもは長い金髪をカールさせてあるだけの美優だが、この日は違った。

珍しくサイドをツインテールにして小さな帽子をピン止めし、服もいつものカントリーっぽいデニムから、フレアのきいたガウチョスカートとブラウスになっている。

「よそ行きやん」

貴慶が思わず突っ込むと、

「子供のときから教会だけはよそ行きだったから」

と美優ははにかんだ。



< 200 / 275 >

この作品をシェア

pagetop