【完】『空を翔べないカナリアは』
教会でお菓子の段ボールを下ろし、指示された位置に運び終わると、今度は引き返して美優を仲通まで迎えに行った。
いつもは長い金髪をカールさせてあるだけの美優だが、この日は違った。
珍しくサイドをツインテールにして小さな帽子をピン止めし、服もいつものカントリーっぽいデニムから、フレアのきいたガウチョスカートとブラウスになっている。
「よそ行きやん」
貴慶が思わず突っ込むと、
「子供のときから教会だけはよそ行きだったから」
と美優ははにかんだ。