【完】『空を翔べないカナリアは』

ほどなく。

大将のおかげで名前だけはすぐに分かった。

白川貴慶(たかのり)。

「たまに関西弁が出るから、まぁ向こうから来たんだろうな」

というぐらいではあったが、歳も分かった。

十七歳の美優と二十歳も違う。

「ほぼおじさんじゃん」

しかし。

会ったときの貴慶のイメージは違う。

彫りが深く、まつげが長くて、鼻も隆(たか)い。

何より、澄んだ目をしていた。



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