【完】『空を翔べないカナリアは』
「でも着付けとか高そう」
リサが心配げな顔つきになると、
「うち、着付けならやり方知っとるで」
貴慶は言った。
「もしかして資格持ってるとか?」
「いや」
「じゃあ何で?」
「うちのオカンの着付けとか、よう手伝っとったし」
貴慶のオカンは着物で仕事をすることが多かったらしく、
「せやから女物の着付けも知っとるし、うちも自分で角帯とか貝の口に結べるし」
貴慶の意外な特技の一つらしかった。