【完】『空を翔べないカナリアは』
実際。
その場で美優をモデルにして、クローゼットにあった浴衣で着せてみせると、身八つ口の始末から襟の抜きかたまでが手慣れていて、
「この浴衣の柄なら花文庫より吉弥かな」
と黒い浴衣に合わせ、ピンクの帯を手早く吉弥結びにキュッと締めてみせた。
四半時もかからない早さである。
あまりの手際の早さに、
「何か脱がすのも早そう」
と思わず美優が言い、それにはさすがに貴慶も苦笑いする他なかった。