【完】『空を翔べないカナリアは』
さらに美優は、それまでつけていたコンタクトレンズを眼鏡にした。
「カラコンもいいんだけど、なんか飽きちゃって」
と美優は言ったが、カラコンを外すと美優が実は少し緑がかった眼をしていることも分かった。
「小さい頃、目の色が違うだけでいじめられてたから、だから隠してた」
と美優は言ったが、
「うちは目の色なんて気にしたことなかったで」
そういうと、
「美優もきっと、いろいろしんどかってんやな」
そうやって貴慶が美優の頭をぽんぽんと軽くさわる。
美優は貴慶の肩に頬を寄せ、
「今はしんどくないよ」
と言った。