【完】『空を翔べないカナリアは』
「当たり前やん、彼女やし」
貴慶は一緒に行くのが既定の路線であるかのような空気感である。
が。
「…あのね貴慶、あたし…貴慶が思うような女じゃないよ」
「ん?」
「いつもそうやって、貴慶はあたしをまるで愛妻みたいに大事にしてくれるけど、…そんなに大事にされるような女じゃないよ」
「そうかなぁ?」
「だって…いつ気持ちが変わるか分からないし、あたしだっていつまでもギャルじゃいられないし、それに貴慶は規模は小さいけど社長さんだし」
正直、荷が重いのかもしれない。