【完】『空を翔べないカナリアは』
そうやって次第に例の黄色の小屋は雑貨のショップとして知られ、取り敢えず名づけてあった、
「カナリアハウス」
という名前でそのまま店として認知されるに至ったのであるが、
「ギャルの店長とイケメンのオーナー」
という組み合わせで、クチコミで広まるようになった。
「まぁ取り敢えずは稼げたらいいか」
ぐらいの軽い気持ちで貴慶も美優も始めたが、売れたら売れたで途端に忙しくもなった。
リサの喘息も三浦に来てからは落ち着いたので、
「世の中なんとかなるようにはなるもんやな」
と貴慶は飄々とした口ぶりであった。