【完】『空を翔べないカナリアは』

横須賀からの帰りの京急線で、

「…懐妊って」

貴慶は言った。

「あたしも…まさか出来るとは思わなくてさ」

てへへ、と美優は笑った。

「いや、てへへやあらへんがな」

「ん?」

「何で出来たんかって、そこやがな」

「それはね…病院で訊いたけど、お医者さんも首かしげてた」

奇事、としか言いようがないことなのであろう。



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