【完】『空を翔べないカナリアは』
美優の妊娠が分かってから初めての美優の誕生日を選んで、二人は三崎の市役所に婚姻届を出した。
藤崎美優から、白川美優に変わったのである。
「あんなに結婚なんて金持ちの道楽としか言うてへんかったのに、まさか白川が嫁さんもらうとはなぁ」
と、報告に行った先で慶なんぞは冷やかしたが、
「それはうちも同じや」
と貴慶も、自身が誰かを伴侶にするなどといったことを想像できなかったようである。