【完】『空を翔べないカナリアは』
三浦で初めての冬を迎える頃、美優のお腹は次第に目立つようになっていた。
「いよいよ美優ちゃん、ギャルママになるんだねー」
遊びに来た萌々子は美優の膨らんだ腹部を撫でた。
「で、性別は分かったの?」
「女の子だって、お医者さんから聞いたよ」
「女の子かぁ」
萌々子は嬉しそうな顔になり、
「産まれたら洋服縫ってあげなきゃ」
「例のゴスロリ?」
「さすがに赤ちゃんにゴスロリは作らないって…あ、でも女の子は父親に似るっていうから、くっきりした顔の女の子になるかも」
「あの顔になるのかー」
「そしたらやっぱり、ゴスロリ縫う」
想像がついた美優は思わず吹き出して、
「貴慶のコスプレみたいになりそうだなー」
と言うと、つられて萌々子も笑った。