【完】『空を翔べないカナリアは』
年が明けると。
予定日がはっきりしてきた。
「もしかしたら、貴慶の誕生日に重なるかも知れないって」
美優は貴慶に医師から伝えられたそのままを述べてから、
「でもそしたら、この子が結婚するまで一緒にお祝い出来るから、いいかもしれないね」
とも美優は無邪気な顔をしてみせた。
さすがに臨月にもなると、萌々子やリサがなにくれとなく周りの世話を焼く。
「いいのいいの、美優ちゃんは大事な身体だから」
などと萌々子は言い、ときには鎌倉から料理を携えて来たりもする。
「名前は決まったの?」
「何か、貴慶が辞書とか、姓名判断とか見てる」
どうも首っ引きで名前を考えているようであった。