【完】『空を翔べないカナリアは』
エピローグ
姫路を出た新幹線は、どういうことか新大阪の駅のホームで、足止めを余儀なくされていた。
「ただいま、名古屋と岐阜羽島の間で雨量計が基準値を超えまして、安全の確認のため、運転を見合わせております」
車内のアナウンスが、繰り返し流れる。
「おい、何とかならへんのかいな!」
「早よう動かしたってぇな」
などという声と、車掌を怒鳴る声、さらにはその怒鳴る声に怯えて泣く子供の声も混ざって、カオスのような車中に貴慶は座っていた。