【完】『空を翔べないカナリアは』

しばらくして。

ようやく新幹線が新大阪を出た。

時計を見た。

「…間に合わんかもな」

とだけ独り言ちて、本をしまって仮眠を取った。

(じたばたしても早く着く訳やあれへん)

そういうみっともないことはしない、というところが貴慶にはあった。



< 260 / 275 >

この作品をシェア

pagetop