【完】『空を翔べないカナリアは』
何日かして。
近所の会館で貴慶の通夜が始まると、美優は驚くべき風景を見た。
何十台というバイクが、駐車場を埋めていたのである。
ほとんどがネットの情報で知ったというライダーで、
「オーナーには生前お世話になったんで」
といったライダーたちが、そのほとんどであった。
中には鹿児島や旭川といったナンバーもあって、
「夏場に鶴見ベースに泊めてもらったから」
というのもあれば、
「横浜でガス欠になりそうなのを助けてくれたから」
というライダーもいる。
その中の一人のライダーが、美優に近寄ってきた。