【完】『空を翔べないカナリアは』

女っ気はないが、

「別に彼女は、いないならいないで困らんし」

としたたかにうそぶく貴慶でもある。

特に不自由もなかったようで、

「だいたい今の世の中で、結婚だの育児だの、あんなもんはセレブの道楽で、人は食えれば足りる」

ともときには毒づいた。



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