【完】『空を翔べないカナリアは』
〔6〕
週末。
美姫は美優の顔を見るなり、
「あのね美優、貴慶さんとはうまくいってる?」
と核心に切り込んだ。
美優は最初こそ、
「まぁまぁかなー」
とあれこれはぐらかしていたが、
「もしかして、まだ?」
と美姫がズケッとした言い方で図星を射抜くと、
「うん」
と、美優は素直にうなずいた。
「美優ってさー、恋愛だけは臆病というか苦手だよね」
美姫は言う。
「うーん…そうかなぁ」
「やっぱり、あのときのことがあるからかなぁ」
と美姫は、なんとなく見当がついていたらしい。