【完】『空を翔べないカナリアは』
「まぁ、あれだけのことがあるとね…」
「…美姫はさ、いつもあたしの気持ちを読もうとするよね」
美優は美姫が分かっていることに安心感もおぼえたが、これが貴慶のこととなると、どうしたらいいか分からなくなるときもあった。
美姫はしばらく黙考していたが、
「…貴慶さんを、デートに誘ってみたら?」
と言った。
「やっぱりディズニーとかが定番だけど、貴慶さんって、うちらと歳が離れてるから好みが分からないんだよね」
「でも、無理にプラン練って失敗するのも…」
美優の最大の意識はそこにあったらしい。