【完】『空を翔べないカナリアは』
そのせいか。
美優がバイトをするときの洋服は古着のサッカーのレプリカのユニフォームで、小麦色によく日焼けした美優は、ビビッドなユニフォームの色がよく似合った。
たまにそれでナンパされることもあったが、
「うっぜーんだよ!」
などと、特に接客中にしつこく言われると怒鳴ることすらある。
もっとも、
「まぁあのぐらい負けん気がないと、市場でなんか働けねぇよな」
などと、近所の馴染みの寿司屋の大将なんぞには言われていた。