【完】『空を翔べないカナリアは』

貴慶はニヤリと笑ってから、

「…嫌やと言うたら、どないすんねん」

それまでの穏やかさは消え、ドスの効いた関西弁で貴慶は言った。

相手が関西弁というだけで白シャツは一瞬ひるんだが、

「…なら腕ずくでも」

と貴慶に殴りかかってきた。

が。

貴慶は咄嗟に手にあった傘をバッと目の前に拡げ、

「美優、逃げるぞ」

とハチ公前の交差点まで出た。

三人は追った。



< 52 / 275 >

この作品をシェア

pagetop