【完】『空を翔べないカナリアは』

ひとりだけ美優には、心を許した幼なじみがいた。

堤美姫である。

幼稚園からの付き合いで、高校は違ったが、土日になると二人でよく桜木町や横浜、ときには渋谷辺りまで遊びに行く日もある。

恵まれた髪質の長い黒髪が美しい美姫と、背中まである長い金髪をクルクルとカールさせた美優では見た目が違い過ぎたが、

「美優がいると心強いんだよね」

と美姫は言った。



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