【完】『空を翔べないカナリアは』
すると貴慶は、
「こいつとは予備校の夏合宿のときからの付き合いで」
と、美優にほとんど話してなかった関西時代の話を、ざっくりと語った。
どうやら貴慶には予備校の夏合宿で知り合った何人かの仲間があり、そのうち関東には貴慶と實平慶と、もう一人は他界した兵藤一慶(かずのり)という小説書きの三人だけが来ていた。
「それでうちら、日本三慶って冗談で言うてた」
美優は分からなかったのか苦笑いしか浮かべられなかった。