【完】『空を翔べないカナリアは』
貴慶は美優の肩に柔らかく手をあてがった。
まるでおさな児を諭すように、
「うちらは、多少は時間がかかってでも、お互いをちゃんと分かり合ったほうがえぇような気がすんねん」
「でも…」
「美優の気持ちは、うちはこれでも分かってるつもりや」
貴慶はふんわりと、美優を抱き締めた。
「美優が本気なのは、うちがよう知っとるから」
どうやら貴慶は、美優の想いを感知しているようであった。