【完】『空を翔べないカナリアは』
貴慶は黙って聞いていたが、
「あのなぁ美優」
あらためて貴慶は美優を抱き締めてから、
「うちが黒ギャル嫌いやったら、普通にこうやって会話とか、よう話さんと思うけどな」
「…えっ?」
「うちは最初に駅で美優と出逢ったときから、可愛いって思っとった」
けどな、と貴慶は、
「何かギャルって男はイケメンでないとあかんくて、人扱いされへんのちゃうかなって」
けど美優は違った、と貴慶は、
「美優が素直で、でも自信がなくて、けど真っ直ぐな子なのは分かったから、だから美優といたいと思った」
うちはそれだけや、と貴慶は、美優を抱き締める腕に力が入った。