【完】『空を翔べないカナリアは』

金曜日の夜、美優と鶴見ベースで落ち合った貴慶は、潮見橋を渡って、本町通の商店街を抜けた先にある仲通のリサのスナックまで、美優を後ろに乗せて自転車を漕いだ。

「あたしが先に行くから」

どうやらこないだのハチ公前の件のことを美優は踏まえたらしい。

「ママいる?」

ドアを開けるとリサらしき外国人の女がカウンターの中にいるのが、隙間からちらっと見えた。



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