【完】『空を翔べないカナリアは』
カリモーチョが来た。
周りの外国人とおぼしき常連は、美優が彼氏を連れてきたというだけで盛り上がっており、
「かんぱーい!」
と一斉にグラスが鳴り、貴慶が飲むと、さらに賑やかになった。
「貴慶さんは生まれは?」
リサが訊いた。
「京都です」
京都、と聞いただけでまた常連が盛り上がる。
「舞妓さん知ってる?」
「幼稚園の幼なじみで祇園町で芸妓やっとんのはいてます」
貴慶は酒が入ると、京都弁に戻るらしい。