【完】『空を翔べないカナリアは』
ここで美優は貴慶の新しい面を見た。
酒が強いのである。
滅法というレベルではない。
最初はカリモーチョ、そのあとはテキーラを炭酸で割ったキューバリブレを貴慶は飲んだが、崩れるどころか、居ずまいがしゃんとしていたのである。
「キューバリブレで酔いつぶれない日本人って初めて見た」
と、リサもあとから振り返って驚いていたが、
「まぁうちは母方が秋田やからね、親戚の中ではうちがいちばん弱い」
と言いながら、この夜はキューバリブレを七杯も空けた。