【完】『空を翔べないカナリアは』
〔4〕
晴れてリサから公認をもらって、美優の誕生日が近づいてきた頃、貴慶は横浜駅の地下街へ出掛けた。
「そう言えば美優のバースデープレゼント、鞄にしようかなって」
と言う貴慶の発案で、地下街の革の鞄屋だの、帆布の肩掛けだの見てはみたが、美優が気に入りそうな感じの決め手を欠いて、
「せや」
と貴慶は、帰ってから實平慶と連絡を取った。
「それやったら、鎌倉にハンドメイドの一点物作るのがおるから紹介するわ」
とのことで、日をあらためて今度は慶に紹介された、鎌倉のハンドメイド作家のショップを目指した。