【完】『空を翔べないカナリアは』
パソコンの画像を見ながら萌々子は考え込んでいたが、
「あっ…そうだ」
急に萌々子は階段をタタタ、と小気味良く登り、数分して降りてきた。
手にはビニールでカバーされた、キャメルとグレーのギンガムチェックのリュックサックがある。
「これね、作ってお気に入りだったんだけど、コーディネートが合わなくて使ってなかったんだよね」
女子高生なら可愛いと思う、と萌々子はカバーから取り出し、
「このままじゃ地味かな」
そう言うと背後の百味箪笥めいた引き出しからスパンコールのワッペンを出し、アイロンで手早く貼り付けた。
「このワンポイントなら、美優ちゃん気に入るかも知れない」
だってJKなんだからキラキラしてないと、と萌々子は自分のチョイスに自信をみなぎらせているようであった。