【完】『空を翔べないカナリアは』
萌々子に見立ててもらってラッピングされたリュックサックを貴慶は購入すると、七里が浜から鶴見までを再びバイクで戻った。
数日して。
誕生日の夜、リサのスナックで開かれた美優の誕生日パーティーに、貴慶は例のリュックサックを持参した。
店内には美優の他に美姫と萌々子が先に来ており、慶は奈良での個展の打ち合わせでおらず、崚は飲めないからと参加していない。
「美優おめでとー」
みんなでクラッカーをパンっと鳴らし、萌々子の知り合いのパティシエが作った五号のケーキを囲んで、小さなパーティーは始まった。